はじめに
皆さんはエフェクターボードの中にコンプレッサーを入れていますか? ギタリストやベーシストにとって、音の粒立ちを揃えたり、サステインを伸ばしたり、はたまたアタック感を強調したりと、コンプレッサーは非常に重要な役割を担うエフェクターです。 今回は、私が実際に使ってみて、そのサウンドとコストパフォーマンスに驚かされた隠れた名機、tc electronicのアナログコンプレッサー「FORCEFIELD COMPRESSOR」をご紹介します。
もしこの記事を読んで興味が湧いたら、ぜひ手に入れてみてください。
FORCEFIELD COMPRESSORとは?その魅力に迫る
tc electronic FORCEFIELD COMPRESSORは、その名の通り「アナログ」にこだわったコンプレッサーペダルです。 ヴィンテージのアナログコンプレッサーが持つ「甘さ」「柔らかさ」「温かさ」といった、いわゆる「コンプの良いところ」を余すことなく提供してくれるのが最大の特徴と言えるでしょう。
モダンなスタジオコンプレッサーが透明感を追求するのに対し、このペダルは敢えて音に色付けをし、楽器本来のトーンに温かく滑らかなキャラクターを加えてくれます。 特に、あのデヴィッド・ギルモアのような伸びやかなサステインや、アルバート・リーのようなパーカッシブなトーンを求める方には、まさにベストチョイスと呼べる一台です。
さらに、コンパクトな筐体ながらも、スマートなケーブリングを可能にするトップマウント端子を採用している点も嬉しいポイント。エフェクターボードのスペースが限られている方でも安心して導入できます。 もちろん、トゥルー・バイパス仕様なので、エフェクトOFF時には楽器本来のトーンを一切損なうことなく、音痩せの心配もありません。
使ってみて分かった!FORCEFIELD COMPRESSORの実力
私がこのペダルを初めてボードに組み込み、ギターに繋いで音を出した時、まず驚いたのはその自然な掛かり具合でした。
多くのコンプレッサーは、設定によっては「音が潰れる」ような感覚がありますが、FORCEFIELD COMPRESSORは、まるでアンプの一部になったかのように、非常に音楽的にコンプレッションしてくれます。
サウンドの印象
- 伸びやかなサステイン: クリーンサウンドでコードを弾くと、減衰が非常に滑らかになり、音が長く、そして美しく伸びます。ギルモアサウンドに欠かせない、あの「歌うような」ギターソロにはまさに最適だと感じました。
- パーカッシブなアタック: カッティングやファンキーなリフを弾くと、ピッキングのアタックが程よく強調され、非常に心地よい歯切れの良さが生まれます。アルバート・リーが奏でるような、粒立ちが良く、前に出てくるトーンが簡単に作れるのです。
- クリーンサウンドの強化: ただサステインを伸ばすだけでなく、クリーンサウンドに「ハリ」と「艶」を与えてくれます。これにより、シンプルなコード弾きでも存在感が増し、バンドアンサンブルの中でも埋もれにくくなります。
- 歪みペダルとの相性: 歪みペダルの前に繋ぐと、歪みの粒が揃い、よりスムーズなリードトーンが得られます。特にソロプレイ時には、フレーズが非常になめらかに繋がる感覚がありました。
メリットとデメリット
メリット
- アナログならではの温かいサウンド: デジタルでは得られない、ふくよかで自然な音の太さが魅力です。
- 直感的な操作性: コントロールがシンプルなので、エフェクター初心者の方でも迷わず音作りができます。
- 省スペース設計: コンパクトな筐体とトップマウント端子のおかげで、エフェクターボードの限られたスペースを有効活用できます。
- トゥルーバイパス: エフェクトOFF時の音質劣化を気にせず、安心して使用できます。
- コストパフォーマンス: このサウンドクオリティでこの価格は、正直言って破格だと感じました。
デメリット
- 透明感重視の人には不向き: 近年のモダンなコンプレッサーが持つ、原音を一切着色しないような透明感を求める方には、FORCEFIELD COMPRESSORのキャラクターが合わないかもしれません。あくまで「ヴィンテージ」な音色を求める方向けです。
- 細かい設定は不可: ノブがシンプルな分、アタックやリリースの詳細な調整はできません。しかし、このシンプルさが逆に「迷わない」というメリットにもなっています。
【比較】競合コンプレッサーとの違いは?
コンプレッサーの世界には数多くの名機が存在します。ここでは、FORCEFIELD COMPRESSORが他の代表的なペダルとどう違うのか、私の主観を交えて比較してみましょう。
| 製品名 | 主な特徴 | FORCEFIELD COMPRESSORとの比較 |
|---|---|---|
| tc electronic FORCEFIELD COMPRESSOR | 温かく滑らかなヴィンテージサウンド、自然なサステイン、パーカッシブなアタック。 | 本製品。ヴィンテージ系コンプの「おいしいところ」が凝縮されていると感じます。 |
| MXR Dyna Comp (M102) | コンプ感が強く、独特の「ポンピング」と呼ばれるエフェクトが特徴。カントリーやファンクで多用される。 | Dyna Compはよりアグレッシブに音を「潰す」感覚が強いですが、FORCEFIELD COMPRESSORはDyna Compよりもナチュラルで、甘く、より音楽的なコンプレッションだと感じます。汎用性はこちらの方が高いでしょう。 |
| BOSS CS-3 Compression Sustainer | クリアで幅広いレンジに対応し、強いコンプレッションも可能な定番モデル。 | CS-3は非常にクリアで、良くも悪くも「BOSSらしい」安定感があります。FORCEFIELD COMPRESSORの方が、よりアナログらしい温かみと、音色に積極的な「色付け」をするタイプです。CS-3が「整える」なら、FORCEFIELD COMPRESSORは「彩る」といった印象です。 |
| Keeley Compressor Plus | 原音を損なわない高い透明感と、幅広いコントロールが魅力のモダンコンプの代表格。 | Keeleyは、現代のコンプレッサーのスタンダードとも言える透明感と、柔軟な設定が可能です。それに対し、FORCEFIELD COMPRESSORは意図的にカラーリングを加えるタイプであり、透明感よりも「音の質感」や「温かみ」を重視する方におすすめです。まさにコンセプトが真逆と言えるかもしれません。 |
個人的な感想としては、FORCEFIELD COMPRESSORはDyna Compの持つパーカッシブな魅力を持ちつつも、より自然で音楽的なサステインを付加してくれる、という印象です。BOSS CS-3やKeeleyのような「透明感」を追求するコンプとは一線を画し、ヴィンテージ機材のような温かいアナログサウンドを求める方に深く刺さるペダルだと思います。
FORCEFIELD COMPRESSORがおすすめなのはこんな人!
- ヴィンテージライクなサウンドを求めるギタリストやベーシスト。
- デヴィッド・ギルモアやアルバート・リーのような、特定のギタリストのトーンに憧れている方。
- クリーンサウンドに「ハリ」や「艶」、そして自然なサステインが欲しい方。
- 歪みペダルの前に繋いで、よりスムーズなリードトーンや、粒の揃った歪みが欲しい方。
- ボードのスペースが限られているけれど、高品質なコンプレッサーを探している方。
- 手軽にアナログの温かいコンプレッションサウンドを手に入れたい方。
まとめ
tc electronic FORCEFIELD COMPRESSORは、まさにアナログコンプレッサーの「美味しいところ」を凝縮したようなペダルです。 ヴィンテージライクな温かいサウンド、伸びやかなサステイン、そしてパーカッシブなアタック感は、多くのプレイヤーの音作りに新たなインスピレーションを与えてくれることでしょう。 個人的にも、このペダルを手に入れてから、クリーンサウンドの質が格段に向上し、ギターを弾くのがさらに楽しくなりました。
コンパクトな筐体に秘められたこのアナログの魔法を、ぜひあなたのボードにも加えてみませんか?
